2016年06月30日

パッチワーク

みなさん、こんにちは!!


今日は久々のゲーム紹介です。
今日紹介するゲームは『パッチワーク』です。

IMG_0873.JPG


『パッチワーク』はその名の通り、
自分のボード上に布の切れ端を使って、
パッチワークを作っていくゲームです。


ボードゲーム業界では、
とっても重厚なゲームを作ることで有名な、
ウヴェ・ローゼンバーグ(通称ウヴェ様)作のゲームです。


2人用のゲームなんですが、
たくさんのタイルを使うので机いっぱいに広がります。

IMG_0872.JPG

このゲーム、自分の番にすることはたったの2つ!!

1つ目は、経過時間を表すボード(写真真ん中)上で、
相手がいるマスより1つ先のマスに自分のコマを移動すること。
移動をすると、その移動したマス数分、
ボタンがもらえます(このゲームにおける「お金」に相当します)。

2つ目は、木製ゴマが置かれているところ(写真やや上部)から、
時計回りに3つ目までのタイルのいずれかを購入し、
自分のパッチワークボードに配置すること。
当然、購入にはボタンが必要で、
加えてタイルごとに設定された経過時間分、
経過時間ボード上の自分のコマを移動させます。

もし、相手のコマを追い越したならば、
相手の番になりますが、
自分が相手より後ろにいる限り、自分の番が続きます。


これを続けていって、経過時間ボード上のゴールに、
2人ともが到達したらゲーム終了です。

その時点で持っていたボタン数から、
自分のパッチワークボード上で、
埋めることのできなかったマス数×2マイナスして、
最終的な得点を競い合います。
(ちょっとわかりにくくてすみません)


*追記(7/1)
動画を追加しました。
https://www.youtube.com/watch?v=KNUNWrc-OJ0


さて、このゲーム、初めてした時、
まったく勝ち筋、つまりは戦略のようなものが掴めませんでした。
その後何回も子どもと取り組んだのですが、
なんとなくやっていたにも拘らず、
僕が勝ち続けるという結果になりました。


「これは、何かあるぞ」と思って、
自分のプレイングを振り返って、コツをまとめてみました。



1つ目のコツは、
「ゲームの序盤・終盤で価値の高低を見極めてタイルをとる」です。

このゲーム、序盤はボタン(=お金)がなくて、
買い物をしたいのに大変カツカツな状態を強いられます。

経過時間ボード上のある地点を通りすぎると、
そのときまでに自分のボード上に配置できていた、
ボタンの描かれた数に応じて、ボタン(給料)をもらえます。

しかし、序盤はとにかくお金が貯まりません。
このようなとき、価値の高いタイルはずばり、
「お金を産んでくれるタイル」です。

せっかく給料をもらえる場所を通過しても、
自分のボード上にボタンが描かれたタイルが少ないと、
次のタイルを買う元手となるボタンが手に入りません。

そこで、序盤はとにかく「お金を産んでくれるタイル」、
つまり、「ボタンが多く描かれたタイル」を優先的にとっていきます。

もちろん、購入費に対して、効果の高いタイルを取っていく方がよいです。
購入費1ボタンあたりの収入ボタン価値を計算して、
その値が高いものを購入していくことが1つの戦法になります。



序盤と打って変わって、終盤は、
「パッチワークボードを埋められないことによるマイナス」を
減らすために、タイルを買っていく必要があります。

終盤に重要な価値の高いタイルは、
「面積が大きいタイル」です。

というのも、時間経過ボードが進んでいくと、
給料としてもらえる回数が減っていくため、
相対的に、ボタンが描かれたタイルを買うことによる、
収入ボタン価値が下がりからです。

最終的に埋めることができなかったマス目は、
とっても大きなマイナスになるので、
終盤は積極的に自分のパッチワークボードを埋めていく必要があります。

そこで購入費1ボタンあたりの面積価値を計算して、
その値が高いものを購入していくことが1つの戦法になります。



このように、タイルの持つ「価値」はゲームの進行状況で変化します。
日常生活では、さまざまなモノ・コトに対して、
いろいろな価値が存在しています。

それぞれのモノ・コトは、それを取り巻く環境や、
主体となっている人によっても異なってきます。
いかにそれを見極めて、その時々に選び取っていくか、
(ちょっと婉曲的すぎはしますが・・・)
そういうことを学ぶことにつながるといいなと思います。



さて、パッチワークに話を戻して、もう1つのコツは、
「相手にボーナスタイルを取らせない」ことです。


これは、1つ目のコツに比べて、より短期的な戦法になります。
このゲームでは、時間経過ボード上で相手より早く通過することで、
もらえるボーナスが存在しています。

それは、1×1を埋めることのできる特別なタイルです。
このタイルの価値は、このあと述べる「7×7ボーナス」に関わります。

相手より先に、自分のパッチワークボード上で、
7×7のマスを綺麗にタイルで埋め尽くした場合には、
最終得点時に加算されるボーナスがあります。
普通にタイルを配置していくと、
どうしても空きマスがどこかにできてしまいます。
そんなとき、「1×1タイル」が大変役に立つのです。

「1×1の特別タイル」を取ることは、
ちょっとした短期目標になっていますが、
その達成が、「7×7のマスを綺麗に埋める」という、
別の中期目標にも関連していることはとても面白いです。


実際に、「相手にボーナスタイルを取らせない」ためには、
そのときどきで、自分が獲得できるタイル、
そのタイルによって経過する時間などを計算して、
綿密に計画をする必要があります。

しかし、それだけの価値有る戦法ではないかと思います。
そして、短期目標の達成が中期目標、ひいては、
「勝利」という長期の目標につながっている。
いや〜、すごいゲームです。


上記2つのコツは、
まだ言葉にして子どもには伝えていませんが、
その先にある「学び」とともに今後は伝えていく予定です。



ここからは、先日子ども2人が対戦した様子を。

IMG_0906.JPG


ゲーム序盤の2人のパッチワークボード。

IMG_0909.JPG

IMG_0908.JPG


そして、ゲーム終了時の2人のパッチワークボード。

IMG_0911.JPG

IMG_0910.JPG


ゲーム終了時に写真が撮りたくなる!!という点でも、
とっても素敵なゲームだなと思います。


現在はAmazonでも簡単に手に入りますので、
もしよかったら購入してみてください。


posted by サイコロ塾塾長 at 11:34| Comment(0) | ゲーム紹介

2016年06月23日

ゲームにおける失敗体験

みなさん、こんにちは!!

ちょっとゲームの紹介が滞ってますが、
そのうちたまったゲームたちを紹介していきます。


さて、今日のブログのテーマは、「失敗」についてです。


ゲームにおける最大の失敗、それはゲームに負けてしまうことです。
子どもたちの様子を見ていると、
やっぱり負けるのはとても悔しそうで、
すぐに、「もう一回」と声をあげることがあります。


それだけ、勝つ=「成功」という体験が持つ、
自分を肯定できる、誇れる感覚が大事だとも言えます。
この、自分を誇れる感覚はとっても大事なのですが、
それは別稿に譲るとして、今回は、
このゲームにおける「失敗」の意味について考えます。

tehepero1_boy.png

ゲームの特徴として、
「行動の結果が即時的にフィードバックされる」
というものがあります。

ゲーム内で自分が取った行動が、
ほかのどんな場所に影響していて、その結果として、
どのような作用を及ぼしたかがわかる、ということです。

将棋や囲碁のような、
「運」のまったく関与しない、アブストラクトという分野のゲームでさえ、
はじめの一手がとっても重要であることはよく言われることです。
「原因(=自分の取った行動)」から「結果(=勝敗)」までの、
その距離が長いので想像が及びにくいのですが、
ここで言いたいのは、結局自分の取った行動の結果が、
なんらかの形で自分でわかるように設計されている、
それがゲームの特徴であるということです。


このようなとき、ゲームにおける「失敗」は、
ただただ無用に劣等感を引き起こしたり、
個人の名誉を傷つけるものではありません。


むしろ「成功」へのヒントをあたえてくれる重要なものです。
「あのときこう動いていたら・・・」
「あのサイコロの目が2だったら・・・」
というように、
ゲーム中のプレイの内容を振り返ることは、
そのまま勝ちにはつながらなくとも、
それぞれのプレイングを改善していくヒントになります。
そして、これはゲームだから容易なのです。


現実世界だとそうはいかない。
それは、さまざまな要因が絡み合って、
「結果」が生み出されているからです。


とはいえ、「ゲーム」というマジックサークルで区切られた空間で、
上記に挙げたように、「なぜこのような結果になったか?」を
考える癖をつけておくことは決してマイナスにはならないと思います。
よく「できるだけ失敗をして、失敗から学びなさい」と言われます。

しかし、「失敗からどのように学べばよいか?」は、
意外に教えられることは少なく、
具体的に「いつ」「どこ」といった項目で自分の行動を振り返る、
という癖をつけていなければ、うまくいきません。



子どもたちはすぐに「もう一回!!」といってゲームを始めてしまいます。
それは「勝ち」の魔力からという理由のほかに、
ゲーム自体が楽しいからというのもあるのでしょう。
とはいえここで、あえて「勝ち」にこだわるのであれば、
「失敗」を振り返るということには意味がありそうです。

もちろん、通常は子どもたちのモチベーションを止めてまで、
無理に「失敗」を振り返らせることはしません。
というか、自然に改善ができる子どもは次のゲームの中でしています。
しかし、放課後ボドゲ道場の中ではあえてひとつひとつを具体的に振り返って、
次につながる何かを見つけてもらおうと思っています。
posted by サイコロ塾塾長 at 09:45| Comment(0) | そのほか

2016年06月16日

ゲームの効果・効能?

みなさんこんにちは!
今日は福岡はちょっと雨模様です。


さて、今回は「ゲームの効能・効果?」という
テーマで書いていこうと思います。


思い起こせば、自分が小学生の頃は、
ファミコンが爆発的に広まり、
テレビゲームが全盛の時でした。


「1回30分まで」と申し付けられてはいましたが、
時間を見つけては隠れてゲームをし、
友達の家に入り浸ってはゲームをしました。


そんな様子を見た親たちは、
「ゲーム」を敵視し、無駄なもの、邪魔なものとしました。
(僕のまわりの人たちだけかもしれませんが・・・)


今にして思えば、こうした押し付けへの反発が、
僕自身を「ゲーム」の研究へと駆り立て、
今のサイコロ塾につながっているのだと思います。
その頃から、「ゲーム」は楽しむだけではなくって、
きっと「なんらか」があるはず!!
と信じていました。


そして、大学に進み、ゲームの研究をし、
「ゲームの社会的活用」について論文を書きました。

こうした僕の抵抗は、
実は今のサイコロ塾を始めるにあたって、
少しでも自分のしたいことを科学的に裏支えしたい、
という思いからでした。



サイコロ塾では、
「ゲームをすることで生きる力を育てる」
ということを標榜しています。
これを見た人たちの中からは、
「えっほんと?」「ゲームが?」
という声が聞こえてきそうです。


ゲームの効果研究を長い間行ってきた自分の経験からして、
これらの声に反論をすることは容易ではありません。


なぜなら、「ゲームの効果・効能」は即座に、
「ゲームをしたからこうなる」と言える代物ではないからです。

いわゆる学校でのテストのように、
これを教えれば、あれが身について、テストの点数がよくなる、
といったことではないのです。


ゲームの効果・効能はもっと目に見えない、
それこそ、地頭の強さを強化していくようなもので、
さらに、それが見えるのはうんと時間が経ってからだと感じています。


こういうふうに即座に、わかりやすい形で結果が見えないものに対しては、
世間的にはお金を投資する価値を見出してもらえないし、
無視されていくのもある面では仕方ないとも思っています。


ですが、実感として「今、ここ」の子どもが、
まさにゲームを通して考え、
難しい課題に挑戦している姿を目にしていると、
あと何年かあとに、その子どもたちが、
「ゲームをしていたから・・・」
と言ってくれそうな気もしています。


今はほんの希望的観測にしか過ぎませんが、
しっかりと実践を記録し、積み重ねていくことで、
「ゲームの効果・効能」というぼんやりしたものを、
サイコロ塾の中で、はっきりさせていければいいなぁと思っています。



ちなみに、米国ではこうした実践を重ねた上に、
客観的データを示している例が存在しています。
http://www.instituteofplay.org/work/projects/glasslab-research/
たびたび事例をあげています「Quest to Learn」のように、
いつか「ゲーム」を中心とした学びの場を作りたいです。
posted by サイコロ塾塾長 at 12:46| Comment(0) | そのほか